頚椎症・頚椎ヘルニアでブロック注射をしても痛み・しびれが改善しないのはなぜ?
頚椎症・頚椎ヘルニアでブロック注射をしても痛み・しびれが改善しないのはなぜ?
この記事で分かること
- ブロック注射の種類と、それぞれの目的
- 効果の続く期間と、痛み・しびれが改善しない理由
- ブロック注射が効かなかった場合に確認したいこと
ブロック注射を受けても症状が残っている方へ
「ブロック注射を受けたけれど、ほとんど効かなかった」
「注射した直後は楽だったのに、また痛くなってしまった」
「何回かブロック注射をしているけれど、腕の痛みや指のしびれが残っている」
頚椎症・頚椎ヘルニアの患者さんから、このような相談をよく受けます。
実際、ブロック注射の効果にはかなり個人差があります。よく効く方もいれば、数時間だけ楽になる方、数日間楽になる方、ほとんど変化を感じない方もいます。
また、一口に「ブロック注射」といっても、実はいくつかの種類があります。
今回は、「ブロック注射にはどんな種類があるのか」「効いた場合、どのくらい効果が続くのか」「なぜ効かない人がいるのか」「効かなかった場合、どう考えればよいのか」について、できるだけ分かりやすく解説します。
そもそもブロック注射とは?
ブロック注射とは、痛みに関係している神経やその周囲などに薬剤を注射し、痛みを和らげる治療の総称です。
頚椎症や頚椎ヘルニアでは、頚椎から腕へ向かう神経が刺激されたり、神経の周囲に炎症が起きたりすることで、次のような症状が現れることがあります。
- 首の痛み
- 肩甲骨周辺の痛み
- 肩から腕にかけての痛み
- 前腕の痛み
- 手や指のしびれ
ブロック注射では、局所麻酔薬などを使用して痛みを抑えます。また、治療法によってはステロイドを併用して神経周囲の炎症を抑えることもあります。
ここで知っておいてほしいのが、「ブロック注射」という名前の一つの注射があるわけではないということです。
いくつかの種類があり、注射する場所や目的も違います。そのため、「ブロック注射をしたけれど効かなかった」という場合には、まずどのようなブロック注射を受けたのかを確認することが大切です。
頚椎症・頚椎ヘルニアで行われる主なブロック注射
① 神経根ブロック
頚椎から腕へ向かって出ている神経の根元を「神経根」といいます。
神経根ブロックは、症状の原因と考えられる神経根の近くに薬剤を注射する方法です。
頚椎症や頚椎ヘルニアでは、C6やC7など特定の神経根が刺激されることで、腕の痛みや手・指のしびれが起きることがあります。
神経根ブロックには、痛みを軽減するだけでなく、「この神経が症状に関係しているのか?」を確認する意味で行われることもあります。
たとえばC6神経根にブロック注射をして腕の痛みが大きく軽減すれば、C6神経根が症状に関係していると考える一つの手掛かりになります。
私がこれまで相談を受けてきた中でも、C5/6のヘルニアでC6神経根へのブロック注射を受け、強かった首の痛みがかなり軽減した方がいました。
一方で、別の神経根にブロック注射をしても、肩や肩甲骨周辺の痛みにはほとんど変化がなかったケースもあります。このように、同じ人でも注射する場所によって反応が違うことがあります。
② 頸部硬膜外ブロック
脊髄や神経根を包んでいる膜の外側にある「硬膜外腔」という場所に薬剤を入れる方法です。
神経根ブロックが特定の神経根を狙うのに対して、硬膜外ブロックは、より広い範囲に薬剤を作用させる方法です。
頚椎から肩、腕にかけて強い神経痛が出ている場合などに行われることがあります。
③ 星状神経節ブロック
首の前側にある「星状神経節」という交感神経の集まりの周囲に局所麻酔薬を注射する方法です。
神経根そのものを狙う神経根ブロックとは、注射する場所も目的も異なります。
そのため、「首にブロック注射をした」というだけでは、どの治療を受けたのか分からない場合があります。
④ トリガーポイント注射
首や肩など、痛みの強い筋肉部分に局所麻酔薬などを注射する方法です。
「トリガーポイントブロック」と呼ばれることもありますが、神経根ブロックや硬膜外ブロックとは、注射する場所や目的が異なります。
実際に患者さんのお話を聞いていると、「ブロック注射を何回もしています」というので詳しく確認したところ、トリガーポイント注射だったということもあります。
注射をしても改善しない場合には、「この注射は何という名前の注射ですか?」と主治医に確認してみるとよいでしょう。
ブロック注射はどのくらいの人に効く?
「ブロック注射をすれば、どのくらいの確率で良くなるのでしょうか?」これもよく聞かれる質問です。
ただ、実際には、「ブロック注射をすれば○%の人に効く」と簡単に言うことはできません。
神経根ブロック、硬膜外ブロック、トリガーポイント注射など種類が違いますし、症状の原因や程度、注射する場所によっても効果が変わるからです。
私がこれまで相談を受けてきた中でも、「かなり楽になった」という方もいれば、「数日だけ楽だった」「注射直後だけ良かった」「ほとんど変わらなかった」という方もいます。
つまり、ブロック注射は、「必ず効く治療」でもなければ、「効かない治療」でもありません。効果にはかなり個人差があると考えておくとよいでしょう。
効いたら何時間・何日くらいもつ?
これも患者さんによってかなり違います。私がこれまで相談を受けてきた中でも、次のようにさまざまです。
- ほとんど変わらなかった
- 数時間だけ楽だった
- 2〜3日楽だった
- 1週間くらい楽だった
- それ以上、痛みが軽くなった状態が続いた
また、注射直後は楽になったのに、その日のうちに痛みが戻ってきたということもあります。
反対に、注射をした直後にはあまり変化を感じなかったものの、その後少しずつ痛みが軽くなってくる場合もあります。これは、使用する薬剤やブロック注射の種類などによって、効果の現れ方が異なるためです。
「何時間効いたか」だけでブロック注射の効果を判断するのではなく、その後数日間の痛みやしびれがどう変化したかを見ることも大切です。
なぜブロック注射をしても効かない人がいるの?
ここが今回、一番お伝えしたいところです。
ブロック注射が効かなかったからといって、「症状が重いから効かない」あるいは「もう治らない」ということではありません。いくつかの理由が考えられます。
原因① 症状の原因となっている神経が違う
たとえばC6神経根が症状の原因だと考えてブロック注射をしても、実際にはC7神経根が強く関係していることがあります。また、一つではなく、複数の神経が関係している場合もあります。
実際に、C6へのブロックでは痛みがかなり軽減したものの、肩甲骨周辺などに別の症状が残り、別の神経根の関与が疑われたケースもあります。
反対に、別の神経根にブロック注射をしても、肩や肩甲骨、首の後ろの痛みにはほとんど変化がなかったケースもあります。
このように、どこにブロック注射をして、どの症状が変化したのかという情報も、症状の原因を考える一つの手掛かりになります。
原因② 痛みの原因が一つではない
頚椎症・頚椎ヘルニアによる痛みやしびれは、必ずしも一つの神経だけが原因とは限りません。
神経への刺激に加えて、次のような複数の要因が重なって症状が出ている場合があります。
- 筋肉の緊張
- 関節への負担
- 姿勢や動作
- 長時間のパソコン作業
- 仕事での身体への負担
- 睡眠時の姿勢
また、痛みが長期間続いている場合には、痛みに対して身体が敏感になっていることもあります。
こうした場合には、一つの神経にブロック注射をしただけですべての症状が消えるとは限りません。
原因③ 神経への圧迫そのものを取り除く治療ではない
これも非常に大切です。
頚椎ヘルニアでは、椎間板が飛び出したり、頚椎症では骨の変形などによって神経が刺激・圧迫されたりすることがあります。
ブロック注射によって痛みや神経周囲の炎症が軽減したとしても、飛び出した椎間板や骨の変形そのものを注射で取り除いているわけではありません。
そのため、注射によって一時的に痛みが軽くなっても、その後再び症状が出てくることがあります。
ブロック注射は、特に痛みの強い時期を乗り切るための治療の一つとして考えると分かりやすいでしょう。
ブロック注射が効かなかった=もう治らない、ではありません
当院には、「薬を飲んでも良くならなかった」「ブロック注射を何回か受けても変わらなかった」「病院のリハビリにも通った」「それでも腕の痛みや指のしびれが残っている」という方が多く来院されます。
しかし、ブロック注射が効かなかったというだけで、その後の改善の可能性がないと判断することはできません。
私は、このような場合、次のようなことを一つずつ確認していくことが大切だと考えています。
- どのブロック注射を受けたのか
- どの神経を狙ったのか
- 注射直後に変化があったのか
- 何時間・何日効果が続いたのか
- 痛みとしびれのどちらが変化したのか
- どの姿勢・動作で症状が強くなるのか
- MRIではどこに異常があるのか
つまり、「ブロック注射が効かなかった」ということ自体も、症状の原因を考えるための情報の一つなのです。
ブロック注射で改善せず当院に来院された症例
当院には、ブロック注射を受けても腕の痛みや指のしびれが改善せず来院される方がいます。
最近の症例では、50代の女性で、次のような症状があり、病院でブロック注射を複数回受けても症状が改善しなかった方が来院されました。
- 肩甲骨内側の痛み
- 上腕・前腕の痛み
- 中指・薬指のしびれ
初回来院時には強い痛みがありましたが、約1か月半、9回の施術を行う中で症状が改善していきました。
▶ ブロック注射で改善しなかった腕の痛み・指のしびれ|50代女性
症例の詳しい経過は、上のリンクからご覧ください。
もちろん、すべての方が同じように改善するわけではありません。しかし、「ブロック注射が効かなかったから、もう方法がない」と考える必要はありません。
まとめ
頚椎症・頚椎ヘルニアで行われるブロック注射には、神経根ブロック、頸部硬膜外ブロック、星状神経節ブロック、トリガーポイント注射などがあり、それぞれ注射する場所や目的が異なります。
そして、効果にも大きな個人差があります。よく効く方もいれば、数時間・数日で痛みが戻る方、ほとんど変化しない方もいます。
大切なのは、「ブロック注射が効かなかった=重症」「ブロック注射が効かなかった=治らない」と考えないことです。
ブロック注射をしても改善しない場合には、「本当にどの神経・どの組織が症状に関係しているのか」をもう一度整理して考えることが大切です。
院長より
頚椎症・頚椎ヘルニアによる腕の痛みや手・指のしびれがなかなか改善せずお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
アキバ手あて指圧治療院
院長 瀧本正浩
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