頚椎症・頚椎ヘルニアのしびれはいつまで続く?|痛みが引いても残る理由と回復の見通し

「痛みはだいぶ引いたのに、腕や指のしびれが残っています」
「このしびれは、いつになったら取れるのでしょうか?」
頚椎症や頚椎ヘルニアについて相談を受けていると、痛みが落ち着いたあとに残るしびれを心配される方がいます。
実際に、私が回答している相談室でも、激しい痛みは軽くなったものの左腕のしびれが続き、これからどのように治療していけばよいのか、という質問が寄せられました。その際には、痛みとしびれでは改善の経過が異なることや、神経の圧迫の状態を確認する必要があることをお伝えしています。
しびれは痛みが軽くなったあとも残ることがあり、改善までの期間や、どこまで回復するかには個人差があります。 また、神経根が障害されている場合と、脊髄そのものが障害されている場合では、見通しや治療の考え方も変わります。
今回は、実際に寄せられる相談や施術での経験を交えながら、しびれの現れ方、回復の見方、薬の役割について説明します。
常にしびれる、姿勢によってしびれる―しびれの現れ方の違い
しびれの現れ方は、人によってさまざまです。腕から手指にかけて常にしびれを感じる方もいれば、人差し指や親指の先端だけに、しつこくしびれが残る方もいます。一方、普段はそれほど気にならなくても、上を向いたり、パソコン作業を続けたりすると出てくることもあり、自転車に乗っているときや車の運転中に気になるという相談もあります。
同じ「しびれる」という言葉でも、ビリビリ、ピリピリする感覚と、触っても感覚が鈍い、薄い膜を隔てて触っているように感じる状態は、必ずしも同じではありません。そのため、しびれる場所に加えて、どのような感覚なのか、いつ出てくるのかを具体的に確認しています。
また、指先のしびれがすべて首から来ているとは限りません。手首や肘などで末梢神経が圧迫される場合もあるため、頚椎の診断がついていても、症状の出方に応じて原因を確認することが大切です。
上を向くとすぐにしびれる場合と、数秒たってから出る場合
上を向くとしびれが出る方でも、症状の現れ方は同じではありません。顔を上げた直後に出る場合と、その姿勢を数秒続けてから徐々に出始める場合があり、施術の経過を見るうえでも、この違いを確認しています。
頚椎症性神経根症では、首を後ろに反らすことで症状が強くなることがあります。パソコンの画面を見るときなど、気づかないうちに首を反らした姿勢を続けている場合もあります。
ただし、「すぐにしびれるから重症」「数秒たってからなら軽症」と判断できるわけではありません。しびれの範囲や強さ、感覚の鈍さ、筋力の状態なども合わせて考える必要があります。
症状を確認しようとして、しびれが出る姿勢を何度も繰り返したり、無理に保ったりする必要はありません。普段の生活で、どの動作をしたときに出るのかを伝えていただくだけでも、参考になります。
なぜ、痛みが軽くなってもしびれが残るのでしょうか?
痛みが軽くなることと、神経の働きが十分に回復することは、必ずしも同時ではありません。
神経への刺激や炎症が落ち着いて痛みが和らいでも、感覚を伝える働きの変化が残っていると、しびれや感覚の鈍さが続くことがあります。神経への圧迫を取り除いたあとにも症状が残る場合があり、圧迫がなくなれば直ちにすべての感覚が元に戻る、というわけではないのです。
施術の経過を見ていても、まず強い痛みが落ち着き、そのあとに指先のしびれや違和感が少しずつ変わっていく方がいます。痛みが軽くなると、それまで痛みに隠れていたしびれが気になるようになった、と話されることもあります。
そのため、痛みが引いたのにしびれが残っていることだけで、「治療がうまくいっていない」「もう改善しない」と決めつけることはできません。一方で、しびれが強くなっている場合や筋力低下を伴う場合は、回復途中と考えて待つだけにしないことが重要です。
しびれはいつまで続く? 完全に取れることはある?
しびれが続く期間について、「何週間」「何か月」と一律に答えることはできません。症状が出てからの期間や神経の障害の程度、原因が神経根にあるのか脊髄にあるのかによって、回復の見通しが異なるためです。
神経根症の症状全体については、数週間から数か月の経過で改善が進む場合があります。日本整形外科学会は、治るまでに数か月以上かかることも少なくないと説明しており、英国の公的医療情報でも、通常は12週間以内に改善が始まる一方、症状が落ち着くまで1年ほどかかる場合があるとしています。ただし、これはしびれだけが消えるまでの期間や、個人の回復期限を示すものではありません。
しびれがなくなる方もいますが、指先の違和感や感覚の鈍さが残る方もいます。長く続いているから必ず改善しないとは言えないものの、「時間をかければ必ず完全に取れる」と約束できるものでもありません。
以前の相談でも、手術後に残るしびれについて質問を受けた際には、どの部分に出ているのか、常に続いているのか、時々なのかを確認し、残っている症状と今後の見通しを主治医に相談するようお伝えしました。
大切なのは、期間だけを見るのではなく、その間に症状がどう変化しているかを確認することです。変化が乏しい、あるいは悪化している場合には、治療方針をあらためて相談する必要があります。
両手・両足にしびれがある場合―頚髄症と神経根症の違い
頚椎から腕へ向かう神経の根元が障害される「神経根症」と、首の中を通る脊髄そのものが障害される「頚髄症」では、しびれの意味や回復の見通しが異なります。
頚髄症では、両手や両足に症状が現れることがあり、手先の細かい動作が難しくなる、足がもつれる、歩きにくくなるといった変化を伴う場合もあります。ただし、両側にしびれがあるというだけで頚髄症とは診断できず、症状や診察所見、画像検査を合わせて確認する必要があります。
私が相談や施術で接する中でも、頚髄症によって両手や両足にしびれが出ている方では、しびれを十分に軽減させることの難しさを感じます。
脊髄が長期間圧迫されて障害を受けている場合には、手術で圧迫を取り除いても症状が完全には回復しないことがあります。そのため、治療では症状の改善だけでなく、神経の障害をこれ以上進めないことも重要になります。
頚髄症が疑われる場合や、すでに診断されている場合は、しびれが軽くなるかどうかだけを目安にせず、医療機関で手足の働きや症状の進行を確認することが必要です。
メコバラミン(メチコバール)で、しびれは改善する?
しびれに対して処方される薬の一つに、メコバラミンがあります。「メチコバール」という名前で服用している方もいるでしょう。
メコバラミンは、体内で働く形のビタミンB₁₂で、末梢性神経障害に使われます。神経細胞の代謝に関わり、動物実験では神経の修復に関連する作用が確認されています。ただし、こうした作用があることと、服用すればしびれが明確に改善することは、分けて考える必要があります。
神経への圧迫を取り除く薬ではなく、傷んだ脊髄を元通りにする効果が確立しているわけでもありません。また、末梢神経障害での臨床試験の結果を、そのまま頚髄症によるしびれの改善率として当てはめることはできません。
実際に相談を受ける中では、「メコバラミンを飲んで、しびれが明らかに改善した」と実感している方には、ほとんど出会いません。ただ、私のところには薬などで十分な改善が得られなかった方が相談に来られるため、この経験だけで薬の効果を一般化することはできないと考えています。
添付文書でも、効果が認められない場合に1か月を超えて漫然と使用し続けないよう注意されています。服用しても変化が分からないときは、自己判断で中止したり増量したりせず、何を目標に続けているのか、継続が必要かを処方した医師や薬剤師に確認してください。
しびれの改善は、強さ・範囲・頻度の変化から確認する
施術の経過を見ていると、常に続いていたしびれが突然なくなるというより、まずは強さが少しずつ弱まっていくことがあります。姿勢や動作によって出るしびれについても、以前ほど強く感じなくなったり、しびれる範囲が狭くなったりと、段階的に変化する場合があります。
「まだしびれがある」という点は同じでも、その強さや範囲、日常生活で気になる頻度が変わっていれば、それも経過を見るうえで大切な情報です。
例えば、次のような点を振り返ると、変化を整理しやすくなります。
- 同じ場面で感じるしびれの強さは、以前と比べてどうか
- しびれる範囲が広がっているか、狭くなっているか
- 一日中気になるのか、気にならない時間が増えているか
- パソコン作業や運転など、日常生活への支障はどう変わったか
- 感覚の鈍さや、手の力の入りにくさに変化はないか
痛みの改善に比べて、しびれの変化には時間がかかるケースを多く経験するため、残っているかどうかだけでなく、以前と比べて何が変わったのかを丁寧に確認しています。
ただし、しびれが弱まったことだけで神経の機能が十分に回復したとは判断できません。感覚や筋力、手足の使いやすさも合わせて見ることが大切です。
筋力低下や歩きにくさがあるときは、改善を待たずに受診を
しびれが残っていても少しずつ軽くなっている場合と、新たな症状が出たり、手足の働きが悪くなったりしている場合では、対応が異なります。
特に、次のような変化が新しく現れた、あるいは進んでいる場合は、早めに医療機関へ相談してください。
- 腕や手に力が入りにくくなった
- 物を落とすことが増えた
- ボタンを留める、箸を使う、字を書くといった動作が難しくなった
- 足がもつれる、ふらつく、歩きにくくなった
- 尿が出にくい、漏れるなど、排尿の状態が変わった
こうした変化には脊髄などの障害が関係している場合があります。急に手足の力が入らなくなったり、歩けなくなったりした場合は、通常の予約日を待たず、救急受診を含めた速やかな対応が必要です。
まとめ|しびれが残っているかだけでなく、どう変化しているかを見る
頚椎症・頚椎ヘルニアによるしびれは、常に続くものもあれば、特定の姿勢や動作によって出るものもあります。痛みが軽くなったあとも残ることがあり、回復までの期間や、どこまで改善するかは一人ひとり異なります。
相談や施術の中で大切にしているのは、「まだしびれています」という言葉の中身を、もう少し具体的に確認することです。強さが弱まったのか、範囲が狭くなったのか、気にならない時間が増えたのか。こうした変化を一緒に振り返ることで、経過が見えやすくなります。
一方、頚髄症によるしびれや、筋力低下、歩行の変化を伴う場合は、同じように回復を待つことはできません。薬や施術でしびれがどう変わるかに加えて、医療機関で神経の状態を確認することも大切です。
残るしびれに不安を感じるときは、いつ、どこに、どのようなしびれが出るのかを整理して伝えてみてください。以前との違いが、今後の対応を考える手掛かりになります。
アキバ手あて指圧治療院
院長 瀧本正浩
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