頚椎ヘルニアは自然に治る?|ヘルニアが小さくなることと症状が改善することの違い

これは、頚椎椎間板ヘルニアと診断された方から、とてもよく聞かれる質問です。
「手術をしないで待っていて大丈夫なのか」
「この痛みやしびれは、いつまで続くのか」
「薬を飲んでいるから楽なのか、それとも自然に良くなっているのか」
このような不安を感じている方は少なくありません。
これまで相談を受けてきた中でも、「前回は自然に良くなったのに、今回は何か月経っても改善しない」という方や、「病院ではヘルニアが小さくなる可能性もあると言われたけれど、本当にそんなことがあるのか」と質問される方がいらっしゃいました。
結論から言うと、頚椎椎間板ヘルニアによる症状は、手術をしなくても時間の経過とともに軽くなることがあります。
また、飛び出した椎間板の一部が徐々に縮小し、画像上ほとんど目立たなくなる例も報告されています。
ただし、「ヘルニアが小さくなること」と「痛みやしびれが良くなること」は、必ずしも同じではありません。
今回は、この違いと、経過を見る際に気をつけたいことをお伝えします。
この記事で分かること
- ヘルニアの縮小と、症状の改善の違い
- 改善までの期間や、しびれが残る場合の考え方
- 自然に良くなるのを待たずに、医療機関へ相談したい症状
ヘルニアそのものが小さくなることはあります
頚椎椎間板ヘルニアでは、飛び出した椎間板が時間の経過とともに縮小することがあります。
以前のMRIではヘルニアが確認されていたものの、その後の画像では小さくなったり、ほとんど目立たなくなったりした例が報告されています。
ただし、すべてのヘルニアが自然に消失するわけではありません。「どのくらいの確率で小さくなるか」「いつ消えるか」を、一人ひとりについて確実に予測することもできません。
画像上ヘルニアが残っていても症状がなくなる方がいる一方、それほど大きく見えないヘルニアでも、強い痛みやしびれが続く方もいます。
そのため、MRI画像だけを見て「ヘルニアがあるから必ず痛い」「ヘルニアが小さいから症状も軽い」と単純に判断することはできません。
画像の所見と実際の症状、診察での変化を合わせて考えることが大切です。
ヘルニアが残っていても症状が軽くなることがあります
患者さんからよく聞かれるのが、「ヘルニアがなくならないと、痛みもしびれも治らないのでしょうか?」という質問です。
必ずしもそうではありません。
ヘルニアが残っていても、神経への刺激や炎症が落ち着いてくることで、痛みやしびれが徐々に軽くなることがあります。
一方で、「薬で痛みが抑えられているだけなのか、自然に良くなっているのか分からない」という相談もあります。
こうした場合には、薬の作用と、時間の経過による症状の変化の両方が関係している可能性があります。痛みが軽くなったということだけで、ヘルニアが小さくなったとは判断できません。
症状の経過を見る際には、次のような変化を記録しておくと、主治医に状態を伝えやすくなります。
- 痛みやしびれが出る時間、強さ、頻度
- 睡眠や仕事、家事への影響
- 普段の動作で症状が出る場面が減っているか
- 主治医の指示で薬を調整した際に、症状がどう変わったか
自然に良くなっているかを確かめるために、自己判断で薬を減らしたり中止したりしないでください。薬の調整は、処方した医師や薬剤師に相談しましょう。
薬ごとの役割については、「頚椎症・頚椎ヘルニアでよく処方される薬」でも詳しく解説しています。
改善までの期間には個人差があります
「自然に良くなるなら、どのくらい待てばいいのでしょうか?」
これも非常によく聞かれます。ただ、この質問に「○か月で必ず良くなります」と一律に答えることはできません。
これまで相談を受けてきた中には、以前は比較的短期間で症状が落ち着いたものの、再発した際には、改善を実感するまで9か月ほどかかったという方もいました。
その方のお話では、一時期は痛みとしびれが非常に強く、ほとんど寝たきりのような状態だったそうです。その後、徐々に改善し、仕事にも復帰できるようになりました。
ただし、これは一人の方の経過であり、「9か月待てば良くなる」という意味ではありません。強い症状を我慢して、そのまま待ち続けることを勧めるものでもありません。
同じ人でも「前回は早く良くなった」「今回は長引いた」ということがあります。過去の経験だけで、今回も同じように経過すると考えない方がよいでしょう。
眠れないほどの痛みが続く、仕事や日常生活に大きな支障がある、症状が改善しない場合には、主治医へあらためて相談することが大切です。
しびれや重だるさが残る場合と、受診したい変化
頚椎ヘルニアでは、強い痛みが先に落ち着き、「痛みはだいぶ楽になったけれど、手のしびれだけ残っている」「腕の重だるさがなかなか取れない」という経過もあります。
「しびれや重だるさは自然になくなるのでしょうか?」という相談もありますが、その後の経過には個人差があり、必ず消えるとは言い切れません。
しびれが残っている場合には、強さだけでなく、範囲や手の使いやすさに変化がないかも確認していきます。
特に、次のような変化がある場合には、「自然に治るのを待てばいい」と考えず、速やかに医療機関へ相談してください。
- しびれの範囲が広がってきた
- 握力が落ちてきた、腕や手に力が入りにくい
- 物を落とすようになった
- ボタンを留めるなど、細かい作業がしにくくなった
- 歩きにくい、ふらつくようになった
こうした症状は、神経根症だけでなく、脊髄への影響による頚髄症でも起こることがあります。急に力が入らなくなったり、歩行の状態が悪化したりした場合は、通常の予約日を待たずに受診してください。
「自然に治るのを待つ」だけでいいのでしょうか?
症状が軽く、徐々に改善している場合には、医療機関で状態を確認しながら、保存療法で経過を見ることがあります。保存療法とは、薬やリハビリなど、手術以外の方法で治療を進めることです。
一方で、「少し良くなって仕事に戻ると、また悪化する」「薬をやめると痛みが戻ってしまう」「何か月経ってもしびれが変わらない」という場合には、治療方針を主治医と確認するとともに、生活の中で症状が強くなる場面も見直す必要があります。
当院にも、一度は症状が落ち着いたものの、仕事へ復帰すると再び悪化したという方が来院されています。
このような場合には、ヘルニアの有無だけではなく、次のような点も確認します。
- 普段の動作の中で、首をどの方向へ動かすと症状が出るか
- 仕事中の姿勢や身体への負担
- パソコン作業の時間と休憩の取り方
- 寝る姿勢
- 首や肩甲骨周辺の筋肉の緊張
- 症状が出やすい時間帯
症状を確かめようとして、無理に首を反らしたり、痛みが出る動作を繰り返したりする必要はありません。日常生活で気づいた変化を伝えていただければ大丈夫です。
実際に仕事復帰までの経過をまとめた、「仕事復帰後も再発を繰り返していた60代女性の症例」もご参考ください。
※症例は一例であり、症状や改善までの経過には個人差があります。
当院では画像だけで施術方針を決めません
アキバ手あて指圧治療院では、医療機関での診断や検査結果を踏まえ、MRI画像をお持ちの場合には、画像も参考にしながらお話を伺います。
ただし、画像上のヘルニアの位置や大きさだけで、施術方針を決めることはありません。
「どの動作で痛みやしびれが出るのか」「どの姿勢なら楽なのか」「どの部分に筋肉の緊張が強く出ているのか」など、実際の症状と身体の状態を確認していきます。
同じ「頚椎ヘルニア」という診断でも、症状の出方は一人ひとり違うからです。
筋力低下や歩きにくさなど、医療機関での評価が必要な変化がある場合には、施術よりも受診を優先していただきます。
まとめ
頚椎椎間板ヘルニアによる症状は、時間の経過とともに軽くなることがあります。また、ヘルニアそのものが縮小する場合もあります。
ただし、ヘルニアが小さくなることと、症状が改善することは、必ずしも同じではありません。
ヘルニアが残っていても症状がなくなる方がいる一方、画像上は軽度でも、強い痛みやしびれが続く方もいます。
大切なのは、「MRIでどう見えるか」だけでなく、「実際の症状や日常生活が、どのように変化しているか」を見ることです。
徐々に改善している場合には、主治医と相談しながら経過を見ることもできます。しかし、症状が長引く、悪化する、筋力低下や歩きにくさが出ている場合には、あらためて医療機関での評価が必要です。
また、症状を繰り返している場合には、仕事や姿勢、日常生活も含めて見直すことが大切です。
「少し良くなっても、仕事に戻るとまたつらくなる」「痛みやしびれが続き、生活に不安がある」という方は、これまでの診断や治療の経過も含めてご相談ください。
アキバ手あて指圧治療院
院長 瀧本正浩
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