症例

【症例】頚椎ヘルニア治療:整体・整骨院で施術を受けたが改善しない(40代男性・会社員)

通院回数(9回)
通院頻度( 週2回 → 週1回)
完治までの所要日数(44日)

※この症例は、日本指圧学会冬季学術大会2023で報告した内容です。

アキバ手あて指圧院・院長

▼来院までの経緯

・・・数年前から左の肩甲骨内側に痛みを感じ始めていた。2023年4月に肩甲骨内側の痛み、上腕外側の痛み、第1手指~第3手指のしびれ(症状はすべて左側)の症状により、パソコン仕事等で辛さを感じてきた。同年5月に整体で施術を受けるが症状が悪化。6月に整形外科を受診し頸椎ヘルニアと診断を受けた。趣味の上半身筋力トレーニングをやめて週に一度の整形外科通院で鎮痛剤の処方量の調整を行い、しびれは取れてきた。しかし、刺すような痛みは改善が見られず、当院に来院。初回来院時の患者の主な訴えは以下。

・姿勢によって痛みの度合いが変化する。
・デスクワーク時、1時間おきに痛みがでる。
・朝の起床時に痛みが最も強い。睡眠障害はない。

処方薬:タリージェ10mg(朝夜1錠づつ)、ワントラム100mg(夜1錠)
検査所見:ジャクソンテスト(+)、スパーリングテスト(+)

▼治療方針

・神経根周囲の血流を改善して末梢神経の炎症を改善させるために、主にC5、C6支配領域に沿って、上腕外側、前腕外側、手指、肩甲上部、棘下筋、菱形筋などの指圧を行う。

・側頚部、後頚部を入念に指圧して筋緊張を緩め、頚椎に他動運動刺激を加える。

・胸腰椎の棘突起押圧、腹部指圧なども加えて脊柱を整える。

問診・触診

▼施術経過

〇1回目(7月6日)
・筋緊張の強い左肩甲上部を横臥位で押圧。
・治療方針に沿って、指圧を施した。
・伏臥位の施術は痛みが出るために不可。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時  5
・首伸展 10 → 10
・首左側屈 10 → 10
・首伸展左側屈 10 → 10

〇2回目(7月11日)
・前回の施術からタリージェの服用を朝夜1錠(各5mg)を朝のみに減らしている。
・手指のしびれは1回目後から消失。症状は、夜間の肩甲骨と上腕痛のみとなった。
・治療方針に沿って、指圧を施した。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時 0
・首伸展 7→4
・首前屈 4→1
・首左側屈 5→0
・首伸展左側屈 10 → 10

〇3回目(7月13日)
・前回の施術からタリージェとワントラムの服用を辞めている。
・肩甲骨の痛みが減り、上腕の痛みの方が気になるようになった。
・治療方針に沿って、指圧を施した。特に左肩甲上部の筋緊張が強い。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時 0
・首伸展 6→6
・首前屈 5→0
・首左側屈 1→0
・首伸展左側屈10→10

〇4回目(7月16日)
・夜中に痛みで目が覚めることがなくなった。
・治療方針に沿って、指圧を施した。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時  0.5
・首伸展    6→3
・首前屈 5→0
・首左側屈 2→0
・首伸展左側屈 10→10

〇5回目(7月21日)
・治療方針に沿って、指圧を施した。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時 0
・首伸展  5→2
・首伸展左側屈 10→7

〇6回目(7月26日)
・日常のデスクワークでは、ほとんど痛みを感じなくなってきた。
・手指のしびれが出ることはなくなった。
・治療方針に沿って、指圧を施した。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時  0
・首伸展  4→1
・首伸展左側屈 7→3

〇7回目(8月5日)
・平常時は、肩甲骨内側に違和感を感じる程度まで回復。
・治療方針に沿って、指圧を施した。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時 0
・首伸展 2→2
・首伸展左側屈 4→4

〇8回目(8月17日)
・自宅のダンベルトレーニングで痛みが増した。
・治療方針に沿って、指圧を施した。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時 1
・首伸展  3→1
・伸展左側屈 6→5

〇9回目(8月24日)
・朝方に痛みが出ることがある。
・治療方針に沿って、指圧を施した。
・指圧前後ともに痛みがほとんど消失しているため、9回目で治療終了とした。
[術前・術後のVAS]
・座位姿勢時  0
・首伸展  0→0
・伸展左側屈 0→0

▼考察

・本症例では、頚椎ヘルニア(神経根症)の患者において、治療開始からおよそ7週間、施術回数9回で、痛みとしびれ症状がほぼ解消した。

・2回目の施術から、術前術後のVASに改善がみられたのは、C5/6神経根の枝に沿って指圧を行い(主に腕神経叢、肩甲背神経、肩甲上神経、※肩甲上部、棘下筋、菱形筋、上腕外側、前腕外側、手指)、筋緊張の除去による神経根への血流を回復させ症炎させることが出来たと考えられる。

・また、頚椎の運動操作等によって、中枢神経の機能の正常化を図れたものと考えられる。

問診・触診

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